2013年7月24日水曜日

票の価値を考える-自民は本当に圧勝なのか?(参院選)

7月21日の参議院選挙は、自公連立の圧勝に終わった。
今回の改選議席は121だったが、与党は、うち76議席(全体の63%)を獲得し、野党の45議席を大幅に上回った。

しかし、これ程の差が着くほどの投票結果だったのだろうか?

実は、妻が、
「私の周りに誰1人として、与党に投票した人がいないのにおかしい」と言い出したことがきっかけで、少し調べてみた。

まず、比例区の得票数。
総数は、約5千3百万票(53,229,612)だ。
このうち、与党の得票数は、合計で約2千6百万票。
これは、総数の48.9%である。

次に、各選挙区の合計を…と思ったのだが、どこを探しても数字が存在しない。
そこで、東京選挙区を例に使ってみると、投票総数が約5百64万票(5,637,806)であり、
5人の当選枠のうち、1位と5位の自民党、2位の公明党の3名が与党である。

獲得票をみてみると、1位がおよそ100万票、2位がざっくり80万票、5位が約61万票であった。
つまり、3名の合計はおよそ247万票(2,474,859)で総数の44%である。

比例区は63%の議席を48,9%の票で獲得していることになる。
そして、東京選挙区も全く同じような比率で、全体の60%の議席を44%の票で獲得している。

与党と野党、という形で分けてみるならば、与党は全体の過半数の票も獲得していないのだ。
それでも、獲得議席は6割を超え、「圧勝」という見出しが紙面をにぎわす。


また、更に別の角度からみると、今回の投票率は52,65%だった。
乱暴な計算だが、この投票率を比例区に当てはめてみる。
与党は有権者全体の25,75%の票数で、63%の議席を獲得し、
東京では23,2%の支持で60%の議席を獲得したわけである。

実際の数字は多少かわるであろうが、概ね上記の比率である。


このような状態で本当に民意は反映されたことになるのか?
安倍政権の進め方にGoサインが出たのだろうか?


今回、あまりにも政党が乱立してしまい、反自民の票が分裂してしまった。

もちろん、選挙に死票はつきものだ。
しかし、絶対数でみた場合、過半数が与党を支持していないにも関わらず、6割以上の議席を獲得した事に違和感を感じるのは小生だけであろうか?

政党側も、少しの違いを際立たせるのではなく、民意をくみ取った日本全体の政治を大局的に判断した連携を模索するべきではなかっただろうか?



あるラジオ番組で、場所は聞けなかったが、どこかの商店街で選挙前に行われた取組みについて、取り上げていた内容に驚いた。

期日前投票をしてきた人、当日投票を行った人が、それを証明できれば、割引の特典が受けられるというセールを企画しているという、ニュースだった。

しかしこの企画、反対者からの抗議で中止になったのだそうだ。

その抗議の内容とは、何と、このセールで投票率が上がった場合、浮動票が増えるため、組織票(特定の支持基盤)で固めている政党に不利になるというものであった。

正直、空いた口が塞がらなかった。
このような理屈になっていない無理を押し通すことが、堂々とまかり通る時代なのか?と思い、
残念な気持ちになった。


浮動票とは、特定の政党を支持しない票であるから、どの党に投票するかの確率は平等で、反対者が主張している不利になる政党は存在しないし、反対する理由は全く妥当性を欠いている。

また、投票率を上げることが、より民意を反映する選挙になるのは当然のことで、反対すること自体ナンセンスだと思う。低い投票率を意図的にコントロールするのであれば選挙そのものの否定であり、民主国家ではないことになってしまう。


このままでは3年間国政選挙は行われない。
その間、消費税、TPP、憲法改正、国防軍の議論、集団的自衛権の行使、領土問題、普天間移設、原発再稼働など国の将来を二分するような大きな意思決定が数多くなされることであろう。

国民自らが選択した政治である。

これから我々に出来る事は、国民一人一人が無責任でいることをやめ、自らの国、政治に興味を持ち、責任を持ってしっかり監視し、参加することだ。

自らの1票を無駄にしないために。



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