2013年5月31日金曜日

目標を決めるセンス

「必要は発明の母」という言葉がある。発明とは自然発生的に起こるものではなく、明確な必要という目標から生まれることの方が圧倒的に多い。ということだろう。

5月30日の米サイエンス誌が、NASAが昨年8月に火星到着を果たした、探査機キュリオシティから送られてきたデータ解析の結果、火星往復を果たした時点で、宇宙飛行士は一生分の放射能を浴びてしまうことが判明したことを伝えた。

すなわち、現在のままでは仮に火星に行けても、そのまま帰ってくるだけで宇宙飛行士人生にピリオドを打たなくてはならないわけだ。

この結果、NASAは少なくとも2種類の発明を迫られた。
1.片道253日かかった飛行時間を短縮できるエンジンおよび機体。
2.宇宙線や粒子線といった放射能を更に遮断できる技術。
を、2030年代に人類を火星に送り込むまでに達成する。

まさに必要が発明を求めているのである。

目標とは誰が決めるものだろうか?そしてその値、大きさ、基準はどのように決めるのだろう。
会社組織であればリーダーが、国であれば最後は最高責任者が決める。
ではどのように、どんなレベルなのか?
ここには明確なロジック(論理)は存在しない。

敢えて言葉で説明すれば、「組織力が最大化する値」にする。それより低ければ組織はだれるし、高ければ意気消沈して諦める。その適切なレベルを選ぶのである。選び方が上手ければ、その組織は素晴らしい成果を収める。その反対もしかり。

もちろん、何の情報もなくえいや!と決めることは余程の変わり者でない限りすまい。しかし、ではその反対にどこまでデータを分析すれば決められるのか?といえば、答えは「センス」としか言いようがない。
断っておくが、いい加減に決めるということとは根本的に違う。

決める際には、組織に所属するすべての人、関係する人々の運命を背負って決める。その自覚のない人間に決める資格はない。
どのような事態になっても逃げずに責任を取る「覚悟」を持つ者だけに、神は堂々と決める勇気を授けるのだ。

神のお召しを受ける資格を持つためには、「覚悟」が必要なのである。

2013年5月28日火曜日

職業に貴賤あり?

先日、近所を歩いていた際、選挙事務所の前を通りかかった。
恐らく、これから選挙に出馬して政治家を目指しているらしく「ジャーナリストから政治に挑戦」といったようなキャッチフレーズが目に入った。
それを見て、思い出したことがある。かつての歴代内閣の大臣就任の挨拶だ。

「XX行政に関しては、素人ですが一所懸命に頑張ります!」というフレーズである。
最近でこそ見かけなくなったが、このような人材はいかがなものか?先進国で大臣を拝命する人材で、全く素人というケースがあるだろうか?

「職業に貴賤はない」とよく言われる、この言葉、職業に貴い、賤しいの差はないという意味で、基本的には私もその通りだと思う。

しかし、国民の生命と財産に直接関わる、政治家となれば話は別だ。しかも、直接選挙で選ばれる人材であり、国民に代わって法律をつくったり、議論をする立場である。

これらを踏まえると、貴い職業であるべきだと思う。

その政治家の質に対して、我々国民は胸を張ることが出来るのか?を真剣に自問自答すべきタイミングに来ていると考える。

政治家のレベルは国民のレベルだとも言われる。
すなわち、政治家のレベルを上げるためには、まず、投票する我々のレベルを上げなくてはならない。つまり、本当に必要な人物を選ぶ目を持つべきだと思う。

国を二分するような議論、憲法改正や尖閣をはじめとする領土問題、近隣諸国まで巻き込む原発問題に対して、興味を持ち「自分ゴト」にする。

イメージトレーニングとしては、大勢の前で上記のような問題について意見を求められたときに、しっかりと自らの意見を言えるだろうか?と問うてみると解りやすい。

このイメトレを続けていると、政治家を見る目が必ず変わる。
我々一人一人がしっかり人物、経験を考慮して自分の意見を最も実現してくれる候補者は誰か?を見定める。
選挙はウィンドウショッピングとは違う。商品をなんとなく見て、どれにしようかではなく、最初に明確にするのは自分の意見である。

我々に与えられている責任と権利のもと、
質の低い政治家を嘆く前に、自らの一票は考え抜かれた結果なのかを確認しよう。
政治家という職業を貴いものに出来るか否かは、投票する国民の責任である。

2013年5月24日金曜日

竜巻報道で感じたこと

オクラホマで竜巻が起こった、巨大竜巻で被害状況は各番組で報道されている。
海外で起こった事故や、自然災害、テロ犯罪などの際、必ず初めに言及されるのが日本人の安否である。私はこの報道に違和感を感じることが少なくない。

私は、「日本を元気する」が社是のコンサルティングを日々行っている。
その立場から、日本の将来に大きな影響力のある、メディアの検証をしたいと予てより考えている。

まず、今日はその第一弾として、竜巻報道の検証をしてみたい。

この日本人の安否はどのような目的で報道されるのだろう?日本に住むひょっとしたら、知り合いがいるかもしれない人のために、知らせるのだろうか?
もちろん、知らせてはならないとは思わないし、価値のない報道だとも思わない。

しかし、ややもすると、本来伝えるべき内容例えば、
被害の状況、原因、現地の対応、オバマ大統領の措置の検証などとは無関係に、邦人の安否ばかり優先して報道しているように映ってしまうのではないだろうか?
飛行機事故などの場合でも、海外メディアは自国民の安否の前に、テロの可能性を含む事故全体の輪郭について明らかにする。

メディアとして、国際人としてまず感じなければならないのは、被害のあった地域に住む方々を悼む気持ち、事故の全体像、事後の対応の検証、現在の状況、日本人として出来ることの有無をしっかり確認した上で、邦人被害についての言及ではないだろうか?

一昨年の大震災における海外メディアの報道で、各国の国民の被害者の報道がどれほどあっただろうか?

日本人にはグローバル人材が少ないという指摘が多くある。殆どの場合、英語力のレベルを問うているようだが、「国際人」とは世界に関心を持ち、国際的な常識を理解した上で、翻って日本人としてどうふるまうかを考えられる人材であると考える。

この観点から言えば、メディアには、邦人の安否情報の前に、伝えるべきことをしっかりと伝えることで、「国際人」としての感覚を鍛える一助を担ってもらいたいと思う。


2013年5月19日日曜日

キャパシティを考える

先日、義妹の結婚式に参列するために、妻の実家を訪れた。
場所は、墨田区でスカイツリーのお膝元だ。
移動中のタクシーでドライバーが話しかけてくれた内容が、考えさせられるものであった。

スカイツリーの建設途中の3年8ヶ月は、押上周辺はとても潤ったが、今ではスカイツリーとそのショッピングモール、浅草と東武鉄道だけが潤っている。というものだった。

曰く、押上には観光バスを受け入れるだけの「キャパシティ」がないため、川向こうの浅草を拠点としたり、鉄道ツアーをからめたスペーシアで鬼怒川まで行くパッケージ旅行が、大流行りだそうだ。

翻って、押上周辺の商店街は、嘗て建設に従事していた方々で活況を呈していたが、今はバスや電車のツアーではパスされている。というものだった。

すなわち、スカイツリー及び周辺のキャパシティと、観光客の導線まで含めた環境がマッチしていないため、その影響をもろに受けた地元商店街が疲弊しているということだ。

これはひとつの見方として、正しいと思う。しかし、それが全てか?というと実情は少し異なるように思う。パッケージを組む会社、運行する会社、交通機関も組みやすい相手とビジネスをする。営利企業であれば当然のことだ。

では、地元商店街は、自らが組みやすい相手だと気付かせる活動を十分にできているのだろうか?
毎日大勢の観光客は、あらゆる場所から訪れているが、その旅行者に地元の良さ、特徴をしっかりアピール出来ているのだろうか?と考えると、チャンスはまだまだ沢山あるように思う。

私自身、スカイツリーオープン当時から、数回訪れているが地元をアピールする商材を多く扱った店舗も存在する。下町出身でありながら、え!このメーカー墨田区なの!!というものはいくつも存在する。老舗の技術の高い商材も多くあり、かくいう私も義妹に足袋をプレゼントしてもらった。しっかり測ってつくってもらう、ビスポーク(オーダーメイド)だ。

もっともっと地元をアピールし、昔ながらの良さ、墨田、延いては下町の知られていない一面を発信してもらいたいと願う。

これからアベノミクス効果で、多くの施設や場所が開発されるだろう。その時同種の問題は必ず起こる。受け入れる側は、待つだけに終始すると、期待は大きく裏切られることになってしまうだろう。寧ろ今こそチャンス。誰も知らない良さをアピールする千載一遇の時なのではないか?




2013年5月12日日曜日

自分を怠け者だと思う姿勢 Vol 1

横綱効果

5月12日に大相撲夏場所が始まる。今回は宮城野部屋、伊勢が浜部屋から
新入幕力士が誕生し、期待が高まっている。
宮城野部屋には白鵬、伊勢が浜部屋には日馬富士とそれぞれ横綱がいる。
これを称して「横綱効果」という表現を使った新聞があった。

強い力士がいれば、稽古は必然的に厳しくなる。さすれば、そこに所属する
力士も厳しい環境で鍛えられるため、強くなる確率は俄然上昇する。

これは、彼のイチロー選手が、マリナーズからヤンキースへ移籍する際に、
いみじくも語った移籍の理由、優勝争いをする緊張感、大スターばかりいる
チームの雰囲気の中でゲームに臨みたい。とまさに合致する。

人は、元来怠け者だと私は思っている。この私などはその最たるものだと
自負している。

だからこそ、環境は重要なのである。イチローは長い間優勝に絡む経験から
遠ざかった。しかし、彼は偉大であり希代の名選手であるため、気力、体力
をコントロールできる。
であるから、優勝から遠ざかったマリナーズという環境でも活躍できた。

しかし、イチローとて人間。老いは避けられない。その時に彼が選んだのが、
厳しい環境に身を置くという選択、つまり「横綱効果」だったのだ。

組織を活性化するためのヒントは、組織という環境そのものを見直すことで
ぬるま湯から、全員が挑戦することを奨励する雰囲気に変えることだ。
そのために出来ることは何か?を考え抜くことである。



2013年5月10日金曜日

リチャード金杉のリーダー育成道場主の視点 Vol1

川口順子氏が参院環境委員長を解任された。
野党7党の解任決議案が賛成多数で可決されたためだ。

理由は、国会の許可なく中国出張を延長したからだが、昨今全く日本の閣僚と会おうとしない中国要人の一人と、会談できる可能性のための延長だった。

国益という観点からみた場合、国を背負っている国会議員は何を優先すべきなのだろう?
メッセージを発信する場合、誰に向けて発信するかによってその内容は変わる。
仕事もまた然り、何のために行うのかによって大きく内容は異なる。

今回のケースは、真の国益のために起こした活動だったのだろうか?
与党を経験した民主党だが、野党に戻った今、せめて見るべき視座は国益を見据えて
欲しいものだ。