2013年6月21日金曜日

基準の功罪-理解して活用する

来る6月23日に天体ショーが見られるかもしれない。スーパームーンと呼ばれる現象で、天候さえ許せば、普段より大きさで14%、明るさで30%程度違った月を見られるようだ。

このスーパームーン、簡単に言えば月が最も地球に近づく時に満月、若しくは新月(今回満月を取り上げた)が重なることで起こる現象である。そう聞くと、一定の周期で見られそうだが、実際には少し様子が異なるようだ。

実は、ネットを検索すると、何がスーパームーンなのかが良く解らない。興味が湧いたので少し調べてみた。

どうやら、その精度を粗くみた(”概ね”満月で良いとした)場合、約410日前後に一度スーパームーン現象が起こるが、厳密にみると、その発生周期は5年から19年程度に伸び、周期自体複雑になるようだ。


月の満ち欠けは、太陽と月の位置により変化し、地球からみて同じ方向になると新月、正反対の状態で満月となり、新月から次の新月までの期間は≒29.531日である。

理論的に、「満月」とは、地球から輝いて見える部分の変化360度分を、28に換算して求める「月相」で表現した際、月相=14(180度)になる状態のことを言う。


一方、月の公転周期は27.32日だが、その軌道は楕円のため、地球との距離は一定ではない。

地球に最もに近づく時を「近地点」と言い、その距離約35万6400キロ、反対に最も離れる時を「遠地点」と言い、地球からの距離は約40万6700キロ、その差およそ5万キロである。


実際には、「満月」という定義も曖昧で、月齢(新月から次の新月までの日数≒30日)13.8日から15.8日をさし、範囲があること、太陽の引力の影響により、近地点にある月が次の近地点に到達する周期は、27.5日となりずれが生じるなどから、基準とその精度をどの程度厳密にみるかによって結果は大きく変わる。ということが解ってきた。

これだけ条件が違っていながら、実際に見える「満月」の大きさ、明るさは、肉眼では確認できない程度の差異に留まるのが実情だ。



と頭を巡らせてみたときに、現代社会における基準も実は同じような側面を持っていると感じた。

国やビジネス、スポーツ、教育、テクノロジーなど、「基準」は様々な分野で活用されており、必要且つ重要なものだが、上記と同様に定義の精度によって結果が大きく変わることを理解して活用しなくてはならないことを、改めて認識できたように思う。


例えば、海沿いの原発に対する防波堤の高さの基準を考える場合、巨大地震などの天災の発生頻度は高くないものの、影響度は甚大で、現に福島はいまだ終息していないことを考慮すれば万が一に備え、保守的で精密であるべきだろう。

一方、人を動機付けするための評価基準は、あまりに精度が高すぎれば、鼓舞する機会は事実上なくなる可能性が高く、寧ろ積極的にやる気を醸成させたい組織においては、その精度は粗い=褒める機会が多い方が結果的には活性化する。


つまり、基準とは目的に応じてその功罪を理解した上で、しっかりと活用すべきものであり、一旦決めたものだからと盲目的になるのは本末転倒なのである。

また基準は、当初仮説に基づいて策定される。仮説である以上検証は適宜行われるべきである。
寧ろ、前向きに現在のもので本当に目的は達成できるのか?と確認することが重要だ。


可能な限り被害を食い止めるための基準なのか、一歩でも前に進めるための基準なのかその本質を見定め、真摯に運用されることを望みたい。


上記の観点から言えば、スーパームーンはリベラルな基準にして、毎年楽しめる方が忙しい毎日の一服の清涼剤になるのではないだろうか?

日曜日の夜8時32分ごろ、晴れていたら夜空を眺めてはいかがだろうか?

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